映画紹介「人生ここにあり」

映画紹介「人生ここにあり」

聖ヨゼフ病院 臨床パストラル・カウンセラー 山下 清美


yamashita_book先日、銀座シネスイッチで「人生ここにあり」というイタリア映画を観た。80年代の活気あるミラノで熱血労働組合員が左遷されてきた精神病院の作業場で、患者さんと共に巻き起こす実話を元に製作された涙あり笑いありそして『共に生きるとは』を考えさせてくれる作品である。

主人公ネッロは左遷された先で、投薬により正気を抜かれ与えられ仕事をただ無気力にこなすことで日々を送っている患者さん達に驚く。そして彼らの中にある特有な才能を見つけ「できる!やればきっとできるはず!」と、彼ら一人一人を生き生きと『活かす』一つの手段として組合を作り、右に左に脱線しながらも皆で話し合い協議し合って彼らの『才能を生かした仕事』を始めようとする。

しかし、そのためには、今まで行動を全面的に抑えていた薬の処方を変えなくてはならないことに気づく。ネッロは担当医に対して医療の知識も豊かではないのに毅然とした態度で対応する。そこには病院や周りの者が中心ではなく、患者さんが『よりよく生きること』が中心に思考されているのがわかる。

さらに精神病院から飛び出して共同作業場で共同生活を始める。しかし当然そう簡単にいくわけがない。彼らとのラポール(よき関係)を築くためにネッロは全身全霊でコミュニケーションを行う。その話の聴き方は、以前東京で参加した超心理学者アーノルド・ミンデルのセッションを思い起こさせるほどである。

私はこの映画を観ながら『聞く、聴く、訊く』とはどういうことなのか?を再度問われながら、人間らしさや『人間臭さ』を包み隠さず表現してくれる彼らからの学びは大きいことに気づかされた。

その一つとしてこの映画では『性』の問題を重要なこととして取り上げられている。私はそのシーンを観ている時は怪訝な顔をしていたように思うが、観終わって時間が経ちニュースで「性介護」の記事を読んだ時、自分が障害と共に生きておられる方々の立場になって『性』考えるどころか蓋をして援助というものを綺麗ごとだけで済まそうとしていた。『性』の部分もちゃんと向き合っていかないといけない。それも『人間の尊厳』の一つなのだから。

この映画のなかでいくつも感動した場面はあったが、最後の方で組合の理事長となった患者さんが新しく精神病院から来た患者さん達一人一人に『アイコンタクト』で挨拶をする場面は言葉にならない深さを感じた。『生きるとは』『人生とは』『援助者のあり方とは』そして何よりも『共に生きるとは』と様々なことを考えさせてくれる作品です。全国で上映されています是非ご覧ください。


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