一般病棟でのスピリチュアルケア普及の試み

臨床パストラル教育研究センター > 臨床パストラルケアネットワーク > 一般病棟でのスピリチュアルケア普及の試み

一般病棟でのスピリチュアルケア普及の試み

聖ヨハネ会桜町病院 看護師 平野のぞみ

聖ヨハネ会桜町病院私は、2001年にスピリチュアル・カウンセラーの認定を取得しました。それまで16年看護師として勤めるなか、患者との関わりで何か足りないと感じていました。スピリチュアルケアに出会い、全人的に患者を看護することは、霊的な側面まで関わることだと認識しました。2004年4月より桜町病院で看護師として働き始めました。

当時の病院長がスピリチュアルケアを院内で普及させたいとの方針に伴い、2004年10月から企画に携わりました。内容は
1) 2004年10月~2005年9月、5回シリーズで講演会を企画しました。講演会の講師は、1回目が桜町病院ホスピス病棟・チャップレンシスター・サビナ。2・3回目は聖トマス大学の松本信愛神父様。4・5回目は國枝欣一牧師でした。
2) 2005年10月~現在、月1回のスピリチュアルケア勉強会をしています。企画・進行を私が勤め、スピリチュアルなアドバイザーとして聖パウロ会司祭に毎回同席して頂いています。メンバー構成は10名~15名で、看護師が殆どですが、ケースワーカー、栄養士、医師、事務職の方がおり、1年間通して、参加することを条件にしました。

勉強会の目的ですが、スピリチュアルケアは専門職であり、スピリチュアルケアの専門的な学びをされた方が対応されるのが本来の姿であると認識しております。現状は専門家の人数が少ないこと。医療現場でもスピリチュアルケアの重要性の認識が医師、看護師を含めて乏しいこと。又スピリチュアルケアはホスピス病棟に限らず、一般病棟においても患者や家族,医療職者も含めて必要している現実があります、それに対応出来る人材を育てることは必要ではないかと考え始めました。

勉強会の最初1年は、テキストを使い、スピリチュアルケアとは何かの説明後、自由討論をしました。2年目の半ば頃から、会話記録を使い、討論するようになりました。

病棟では日常的に、スピリチュアルニーズが聴かれます。「家族に迷惑をかけてまで生きていたくない。」「私はみっともない老人だ。」「役に立たない者です。」「早く死にたい」ご家族は、「両親の面倒を見るのは疲れました」又、慢性疾患患者においては「生きているのはつまらない」「これ以上生きていても良いことはない。」「こんな病気になるのは前世で何か悪いことをしたからですか。」等。

高齢者や慢性疾患を患う病人のスピリチュアルペインの表出は、がん患者に比べ、緊迫感がなく、日常会話のなかでさりげなく、話されるのが特徴ではないでしょうか。これまで、看護の中で患者の霊的面まで含めて全人的に関わることは、教育されてきませんでした。勉強会に参加し、霊的側面に携わろうと試みる看護師には、大きなチャレンジです。初めてスピリチュアルペインに触れた時、その場に立ち竦む想いがしたとの感想を数名の方が述べています。

6月の勉強会・聖書の分かち合い

「やもめの献金」(マルコ12章41~44)
いろんな解釈はあると思いますが、「自分が持っているものを全て出し切った」ところにポイントがあるのではないでしょうか。日々の業務に追われるなか、患者さんに声を掛けられる、スピリチュアルペインと思われる訴えが聴こえる、忙しい・・・次の業務が待っているが、2・3分だけでも立ち止まる。「その時持っている、自分の時間、自分自身を目の前の患者に全力を注ぐ。」

一日の間何度でも賽銭を入れる機会があるかもしれない・・・スピリチュアルニーズに充分に対応出来るかどうかが問題ではなく、その場に留まることが大切なのでは。「今、持っているものを全て与える、今この時をこの方のために使おう、全力投球するのは今だと関わることが、相手に愛や癒しが伝わっていくのではないでしょうか」

同行司祭の聖書の話は、その場の雰囲気を和ませ、医療現場に霊的糧を持ち帰る機会になります。(2008年6月記)

2008/08/04


  |  



研修会場を探しています!

東京都内で臨床パストラルケア(=スピリチュアルケア)の研修会の場所を探しています。もう15年以上、毎回場所を探し、教材・PCやプロジェクターなどを運ばなければならないのです。ご協力を願っています。

臨床パストラル教育研究センターは、病人を全人的にケアするのに不可欠なスピリチュアルケア・ワーカーを養成するための組織です。