特定非営利活動法人

スピリチュアルケアの提供を保障する日本の社会の実現を目指します。

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 所長 W・キッペスのBlog

臨床パストラルケアワーカーのネットワーク

投稿記事(16)
パスケアネットアンケート結果

臨床パストラルケアワーカー・ネットワークのご案内です

 臨床パストラルケアワーカーとして勤務している人たちのネットワークについてお知らせします。
ご質問、ご意見、参加申し込みなどは、下記にご連絡ください。
今からでも参加したい方はいつでも参加できます。

イエズスの聖心病院 パストラルケア部 加藤理人
 〒860-0072 熊本市上熊本二丁目11−24 
 電話: 096−352−7181  ファックス: 096−352−7184
 メールでの連絡はこちら

「スピリチュアルケアとは」

社会福祉法人聖嬰会 イエズスの聖心(みこころ)病院
パストラルケア部臨床カウンセラー 加藤理人

 スピリチュアルケアとは、定義するなら「苦悩を抱えた人が自分自身で自分自身の内面を見つめながら、『見えないつながり』によって自分自身を支えているものを再確認し、生きる意味を再発見し、苦悩を抱えながらでも生きていけるよう支えること」である。しかし、スピリチュアルケアを「自分がこれからどうなっていくのか」、「人生の意味への問い」などのいくつかのスピリチュアルな痛みにだけ焦点を当てて捉えようとするとスピリチュアルケアの理解が浅くなってしまう可能性もある。

 そのような考えになってしまうのも当然なのだが、そもそもスピリチュアルな痛みは、他者の関与によって完全に解消したり、又は、取り除いてしまうものではない。ある意味でスピリチュアルな痛みは、「常に持っていなければいけないもの」、「その人らしさを保つもの」である。つまり、スピリチュアルな痛みを取り除くことは、「その人らしさをなくしてしまうこと」になる。しかし、痛みには違いないので、その痛みを一緒に支える(担う)存在が人間には必要である。

 よってスピリチュアルケアワーカーは、スピリチュアルな痛みを解消したり、取り除くことではなく、痛みを共に担う存在でなければならない。そのためには、まず、自分自身のスピリチュアルな痛みを知らなければならない。「人をケアするためには、まず自分から」である。これまでの生育暦、価値観、死生観、信仰などを徹底的に振り返ることで、自分の長所だけでなく、短所も見つめる必要がある。そして、自分を見つめ、自分を受け容れることが自分をケアすることにもなり、他者のスピリチュアルな痛みと共にいられるスピリチュアルなエネルギー、又は、スピリチュアルなパワーとなる。

 研修などを積むことによって、他者と共にいるスキルを身につけることはできるかもしれないが、自分自身のケアを経ずにただスキルだけを身につけようとすることは、スピリチュアルケアワーカーにそぐわない。なぜなら、スピリチュアルケアワーカーは、自らの痛みを知って初めて、「苦楽を伴う人生の同伴者」となれるからである。

 さらに突き詰めて表現するとスピリチュアルケアという営みは、ケアの対象者と提供者が「互いの人生の苦楽を共にする場を共有すること」とも言える。この「互いの人生の苦楽を共にする場を共有すること」が、スピリチュアルケアにとって大切なことであり、スピリチュアルケアに関して、一方的にケアを提供すると言う関係は、深い意味においては存在しないとも言える。

 このようにスピリチュアルケアワーカーは、他者の深い内面性に関わるため、どうしても自分の内面、時には、自分の嫌な面をも見なくてはならない。それは楽な道でなないが、苦悩を抱えている方と共にいるためには通らなければならない道である。



パスケアネットアンケート結果 .... 加藤理人
在宅介護職でのスピリチュアルケアの実践 .... 内田英子
ホスピス病棟」での、体験・研修をしてみませんか? .... 宇根 節
高齢者の心の痛みに耳を傾けて .... 小野照子
与えていただいた生命 .... 若杉章子
臨床パストラルケアに関わる活動 .... 川瀬洋子
『スピリチュアルケアの普及を目指して』 .... 石田了久
がん専門病院緩和ケア病棟における
    スピリチュアルケア実施にかかわる問題(PDF: 1.819KB)
.... 小友 進
さわやかな風が .... 山下春憙
スピリチュアルケアの神学(1) .... 福田誠二
熊本イエズスの聖心(みこころ)病院について .... 加藤理人
一般病棟でのスピリチュアルケア普及の試み .... 平野のぞみ
一般病院でのスピリチュアルケアの6年 .... 山下春憙
人と共に希望と共に歩む .... 四方利栄
老人ホームでのパストラルケアについて .... 小野照子
こんにちは!聖霊病院カトリック社会事業室です .... 村上多美代


 「在宅介護職でのスピリチュアルケアの実践」 ↑上へ

北九州ブロック 臨床パストラルカウンセラー 内田 英子

 2000年にスタートした介護保険制度から在宅介護の仕事をしています。入浴、排泄、食事等の介護、調理、掃除等の家事、その他、生活全般にわたる援助に関わっています。

 現状は、心のケアプランは計画の中で明確にはされていませんが利用者は、人生の旅の後半にさしかかり、我が身の生活を他者にゆだねなければならない葛藤や自分らしく生きられなくなっていく事への不安、怒り、孤独感をどの人も持っています。在宅訪問の良い所は一人のゲスト、家族と向き合えるところにあります。日々の会話の中にたくさんの痛み、スピリチュアルな叫びを介護者にぶつけてきます。

  「傾聴 − 正直さ、誠実さ、信頼と共に」

 パストラルケアの学びは、利用者との関係を深めてくれました。傾聴に込められた正直さや、誠実によってお互いの信頼が生まれ、本物の出会いがうまれています。会話記録をとり、何度かイエズスの聖心病院での勉強会でアドバイスをいただき、利用者とのスピリチュアルな関わりができるようになってきています。認知症の方への対応は特にパストラルケアが重要である事を体験から学びました。その方の人生の全てをまるごと受け入れて関わることによってはじめて出会いが与えられました。在宅介護の中でのスピリチュアルケアですが十分に意味があり、、まずは職場の中で会話記録の勉強会を準備してスピリチュアルケアへの理解をしていくことをはじめていこうと思っています。



 「ホスピス病棟」での、体験・研修をしてみませんか?」 ↑上へ

関西ブロック 宇根 節

 すでに臨床スピリチュアルケアワーカーの認定を受けられた方にとって、臨床の現場で経験できる場所が少ないのは、大きな課題だと思います。せっかく認定をとっても、現場で実際の出会いの機会がないと、スピリチュアルなセンスや相手の内面への敏感さを維持するのが、難しいのではないでしょうか?

 そこで、現在私が勤めている「ホスピス病棟」で、スピリチュアルケアワーカーとしての体験や研修につながる機会を作れないかと思い、病院に相談をしたところご協力いただける事になりました。つきましては、既に認定を受けておられる方で、ホスピスでの研修や体験を希望する方を、募集したいと考えています。体験や研修の内容は、個人の希望をお聞きしながら決めていきたいと思いますが、ホスピスの1日の流れを実感し共にひと時を過ごしボランティアとして必要な手助けをするという事でも、或いは直接生活している方々と向き合って話を聴くという事も可能だと思います。

 ちなみに、私は当ホスピス病棟で、「スピリチュアルケアワーカー」として働いています。専門職として認めてもらい生活している方々へのスピリチュアルなケアの提供を要求されながらも、介護職や看護職の手伝いなども兼ねて働いています。スピリチュアルケアワーカーとして向き合う時と、介護職・看護職の手伝いとして向き合う時と自分自身のスイッチの切り替えの難しさを感じたり、旅立ちが近い方々とどう向き合えばいいのか?その方の中にあるスピリチュアルな力が何なのか?そのスピリチュアルな力に敏感になるために自分の状態をどう整えたらいいか?等を日々悩みつつ働いています。もし、当病棟での研修や体験を希望される方が居ましたら、一緒に考え悩みつつも、いい学びを共にして行きたいと思いますし、病棟内でのスピリチュアルなケアへの意識の向上にも役立つのではないかと期待します。
 詳細につきましては、下記にご連絡ください。
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 問合せ先:関西ブロック 世話人  宇根 節
      TEL 078-261-2820
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 高齢者の心の痛みに耳を傾けて ↑上へ

特別養護老人ホーム・暁星園 パストラルワーカー 小野照子

 2年余りの病院ボランティアを経て仙台市宮城野区にあるカトリック系の特養・暁星園に勤務させていただき、現在6年目を迎えております。
 初めて飛び込んだ高齢者の施設で、お年寄りにはどのような心の痛みがあるのか、それはお年寄り自身から教えていただくとの気構えで臨みましたが、私にはなかなかそれが見えてきませんでした。施設は設立33年目で今では珍しい6人部屋。平均年齢85.7才、平均要介護度4.3、長期入居者56名中半数以上が重度認知症という施設の日常風景は、一見のどかな雰囲気な中、大きな笑い声や独語が飛び交い、時には未然に防いだ転倒や脱出で大賑わい、その間を多忙な職員が足早に行き交う毎日です。ターミナル期に入り旅立ち間際のお年寄りにも、死を前にした緊迫感が感じられないこともあり、勤めた頃研修仲間に「高齢者にはスピリチュアルな痛みは余り無いのではないか」と話しひんしゅくを買ったことがありました。6年近い勤務の中で、特に入所後間もない方や介護度が徐々に進み施設利用を余儀なくされつつある短期利用のお年寄りから、高齢期特有の解決困難な問題、スピリチュアルな痛みを聴かせていただくようになりました。心身の力が失われていく体験の中で「私を忘れないでください」、「早く死にたい」、「人間らしい気がしない」、「神様はどうして私を生かしておくのか」、「私がいなくなるのが一番だなあ、死んでしまうのが」、「ここ(頭)が分からなくなれば良いんけど、ならないしなあ」、「医者にあの世に逝く薬を頼んだけど今の医者はくれない。」など。これらの言葉を語られたお年寄りとその表情は今も忘れられません。お年寄りとの交わりは一度の傾聴で大きな変化は見られなくとも、日々関わりを繰り返すなかで信頼関係が出来、身体的な苦痛からの解放として「早くあの世へ」と言われていたお年寄りが徐々に介護を任せてくださるようになり長生きに伴う様々な苦痛を受け入れ、穏やかな表情で日々を送られる人に変わったり、それまでの歩みの中で起こってしまった恨みや許しに関する深い苦痛のことばが次第に許しや懐かしさに変わっていく姿を見せていただくとき、生きている限り変わり得る人間のすばらしさを実感させられます。又時折、その日に限って数人のお年寄りがご自分の心の内を語ってくださるということを体験しました。その日、それは何か事が思い通りに運ばず、聴かせていただく私に力なく、自信を失いかけてこういう自分がここにいて良いのかと心底助けを求めているときでした。そのことから、私にとって心掛けることは、人の評価や仕事の成否で一喜一憂せずありのままの自分を知ること、そのために私自身の心が他のことで騒がしくなく静まっていることが大切であるということでした。スピリチュアルケアの展開は私自身の内面性にかかっているようにも思っています。
 一方仕事として出会いと傾聴の機会を多く与えられている恵みを感謝しながらも、ボランティアの頃と異なり与えられた種々の仕事をしながら傾聴に潜心することの困難さを感じています。重視している仕事は居室訪問・対話・傾聴ですが、お年寄りの状態は日によって、時間帯によって異なります。全く予期しないこときにスピリチュアルな場が生じることもあります。その場面が生じたとき身の引き締まる思いで耳を傾けます。しかし、日常いかに仕事に流されているか、一期一会としてお年寄りに対峙していない自分を自覚することもあります。職員ではあってもお年よりの立場に立ち、仕事としての意識から離れ、傾聴に集中することが私に求められていると思っています。
 ここではほとんど全員が施設で最期の日を迎えます。ターミナル期に入ったお年寄りと共に居ること、日常ニーズに応える形で行う信仰生活への援助も重要な役割と思っております。日々の祈り、ミサや聖体奉仕を通して高齢期に重要なご自分の信仰を整えるお手伝いにも喜びを感じ今、この場に置かれていること有難く思っております。



 与えていただいた生命 ↑上へ

若杉章子

コンクリートの道と塀の間のわずか数ミリにも満たない隙間の土から生え出で、咲き出ている名もない野の草花の姿に感動を覚える日々です。与えていただいた生命に感謝して精一杯、健気に生きている姿に心を打たれ、“生きていく力”をいただくのです。「あなたも与えられた生命に感謝して一生懸命輝いて生きなさい。」というメッセージを受け取るのです。−−星はおのおの持ち場で喜びにあふれて輝き、その方が命ずると、「ここにいます」と答え、嬉々として、自分の造り主のために光を放つ−−(バルク書3:34、35)を想います。 サン・スルピス大神学院で神学講座を受講した際の講義で「神による創造」をお聴きして、この想いは一層深まりました。
以前、病院で訪問させていただいたある患者さんが「自分がなんでこんなにつらい目に遭うのか、と想ったこともありますが、今は、生命はいただいたものだからしっかり生きてお返ししなければ、と想います。」と語られ、さらに「人生、誰でも身体的・精神的にダメージを受けますが、それは考えさせ、教えてもらうチャンスです。」と明るい表情で語られたことが大変印象深く心の奥に残っています。 この方は“感謝を忘れず、日々精一杯生きる”ことの大切さを実感を以って気づき、会得され、語ってくださったのです。 私は“いただいた生命の大切さ”を改めて胸に響かせていただき、大きなものをいただきました。 スピリチュアルケアとは正に・・双方向に働くもの・・なのですね! 
盲目のテノール歌手、新垣勉さんのことも想います。自分を捨てた親を殺そうとまで思った彼が、生命を与えていただいた神に出会い、その愛のすばらしさに気づかされたのです。 そして今、いただいた生命を喜び、親に似た美しい声をいただいたことに感謝して、明るく力強く歌っています。 歌う技術を超えたスピリチュアルなものに溢れた歌声を日々聴いています。 彼のコンサートを聴きに行きましたが、曲の合間のお話はユーモアに満ち溢れていました。そして、「You are only one on this planet ,not number one!」と強調されました。そのコンサートはチャリティーコンサートでしたが、皆さん喜んで募金箱に群がって寄金をされていました。寄付金は全額ペシャワール会に送られるということでした。 彼は「みなさんの気持ちをはっきりと伝えられるコンサートにしたいので無料のコンサートとし、募金箱に入れてくださったお気持ち、その全部を、そのままの形でペシャワール会に送りたいんです。」とのことでした。 「与えてくださった生命を大切に、そのために今自分にできることをしよう」というスピリチュアルな想いを聴き取りました。
このように、自然、そしてさまざまな出会いを通して、“与えていただいた生命”への感謝の想いを伝えていただき、気づき・学びをいただき、私自身も生かされるのです。“生命の不思議さ”をも感じるのです。  親を大事にする、ということも“いただいた生命”への感謝の表れでしょうし、“神による創造”を想えば、環境問題も単に人類が後何年生き残れるか、を心配する、ということではなくなるのではないでしょうか。
自他への“いただいた生命”を大切に想うなら、すべての生命との共存を想い、戦争も無くなるでしょうし、人種差別、他人への悪口もなくなるでしょう。 日々の平凡な暮らしにも新鮮なものが見えてくるのではないでしょうか。



 臨床パストラルケアに関わる活動 ↑上へ

愛知県がんセンター中央病院 看護部 川瀬洋子

@ 病院内に平成18年にスピリチュアルケア推進チームを立ち上げました。
 病院組織図では緩和ケアチームを支援するチームとして位置付けられています。
 緩和チームより相談依頼があれば出向し相談にあたっています。
 質向上のために、県内にある愛知国際ホスピスのスタッフと愛知がんセンターのスタッフと合同で1回/月の症例検討会を開催しています。
 (医師、看護師、MSW、病院付きチャプレン、ボランテイア・・・等の参加があります。)

A 愛知県看護協会主催の研修に1、全人的苦痛の理解 2、スピリチュアルケアの実際を研修計画に取り入れてもらい講師を引き受けています。
 この研修は2〜3年前から人気が出てきて次年度からコマを増やす予定で計画しています。

B 他施設からの講師派遣依頼(2〜3件/年)に応じています。
 これは主に看護師対象の「ターミナルケア」「スピリチュアルケア」の講義です。

C がん相談支援室長を兼務しておりますので心の相談に来られた人の対応にあたっています。

D NPO法人CPFサポートの理事をしていますのでその会での病む人の患者・家族の相談にのっています。

 私は比較的スピリチュアルカウンセラーとして、相談にあたる部署に配置されていますので、やりやすい環境ではあります。

 ネットワークつくりについての意見は病院内なら一番多い看護師を巻き込むこと、そして実績を作ることだと思います。

 「みえる可」して行かないと他職種の理解は難しいかと思います。

2009/1/6

 『スピリチュアルケアの普及を目指して』 ↑上へ

臨床パストラル・カウンセラー 石田了久

 5年前、友が癌で苦しみ他界したとき、死に対し医療が全く無力であることを痛く感じた私は、25年間勤めた公立病院を辞し、内科透析病院で整形外科診療をしています。ホスピス病棟はありません。
 2年前、臨床パストラル・Aコース研修を終えた後、私は理事長の理解の下、院内で「スピリチュアル勉強会」を月に1度始めました。また近くに当院が経営する介護付老人ホーム(60室)があり、そのスタッフ約50名を5グループにわけて月2回「コミュニケーション研修会」をしています。
 スピリチュアル勉強会設立当初は、15名の参加がありましたが、現在は常時5〜6名と減ってきました。医療は、目に見えないものではなく、みえるものを信じる分野であり、また忙しい毎日の中で、スタッフにスピリチュアルを理解し受け入れていただくことは容易なことではありません。閉塞感の中、最近外来患者さんとの間で次のような会話がありました。

G: (70歳代の女性、覇気のない暗い表情で)「膝が痛いなら整形に行けと内科の先生に言われてきました。痛くて歩けません
H: え、今歩いてこられましたよね」(G:無言で私を睨らまれる)。H:(診察後)「大丈夫です。膝の痛みは良くなりますよ
G: (少し間をおいて)「歩けても息子が死んで・・・」(涙ぐまれ、一人っ子の一人息子が先日交通事故で亡くなったと話された。そしてどうしようもないといった感じでいわれた)「死にたい・・・
H: 息子さん亡くなられたのですか?それは、それは辛いですね」(しばし間をおいて)「私も息子を交通事故で亡くしました。でもここ(胸)に生きていますよ。・・あなたの息子さんも生きておられるでしょ」(といって胸を指し示した)
G: (間をおいて静かに頷かれたが、その後すぐに)「でも夫も腎不全で入院しいつまで持つかわからないし、一人になったら人に迷惑をかけるだけだからやっぱり死んだほうがいい
H: いいじゃないですか喜んで人のお世話になりましょう。みんなが世話になるんですから
G: (エッといった表情をされ無言で診察室を出られた。)1週後再診。
G: (とても明るい感じで)「先生この前は有難うございました
H: (何のことか判らず)「何のことでしょう
G: この前言われたこと主人に話したらとても喜んでくれました。」

 先生、私が死ぬまでここを辞めないでくださいね」(といって診察室を出て行かれた。なにか感じられたのであろうか)
 外来診療中の短時間では、とてもスピリチュアルケアは出来ないと思っていた私は、この方から、“いつもスピリチュアルケアが出来る心の状態を保つように努力しなさい”と教えられ、心にあった閉塞感も消却したようで、私がケアを受けたことに気づかされました。
 本年の(高校)同窓会で、スピリチュアルの話をしたところ、皆の頭には「オーラの泉」しかなかったのでしょう。大半の人に理解していただけませんでしたが、一人、黙って聴いていたA君が私の側に来て「公民館でその話をしてくれ」と依頼してきたのです。小学校長を11年していた彼は、退職後公民館の館長となり、館内に「老人大学」を立ち上げ毎月色々と企画していました。人生の大先輩の方が対象で迷いましたが、A君の熱心な依頼を断りきれず引き受けてしまいました。約40名の先輩方を前に「スピリチュアルについて」話したところ、「見える霊と違うことがよく解った」「改めて自分にとって、本当に大切なものは何かを考えてみます。そしてお迎えを待ちます」との言葉をいただき、私は生き方を教えられました。
 医療職にある方々と老人ホームのスタッフを対象とした2つの勉強会を続けながら、外来診療の中で、また地域の方々との交流のなかで一方的ではなく、互いにケアし合うことが、スピリチュアルケアの普及にも繋がるのではと思っています。

2008/11/10

 さわやかな風が ↑上へ

臨床パストラル・カウンセラー 山下春憙

 いつもより1時間ぐらい早く家を出て、午後4時にはホスピスに着いた。
 ナースステーションでHさんの様子を聞いたら、今調子が悪く、看護師が部屋に行っている。娘さんも来ているとのこと。
 わたしはHさんの旅立ちの近いことを直感した。
1年半前、以前勤めていた病院で出会った患者さんから久しぶりに電話があった。 「がんが再発して、食事が摂れなくなり点滴だけで生きている。その針を取替えに毎週病院に通っている。次の火曜日に病院で会えないか」という話であった。
 火曜日に外来診療が終わる10時に指定された場所で待ち合わせた。
 半年振りに見るHさんの顔。やせ衰えてみる影もない。「もう残り少ない人生、静かに自分の人生を振り返りたい。そのためにできたらホスピスに入りたい。いいホスピスがあれば紹介してください。」ということであった。
 その次の火曜日には次第に体力も衰え、通院は無理ということで、主治医は入院をすすめた。
 Hさんは、しばらく入院して体力をつけてから、適当なホスピスを見つけて、そこに入院する手はずであった。
 入院した次の日にK病院の個室に入っているHさんを訪問した。
 帰り際に彼女は次のように言った。
 「さわやかな風がす〜と入ってきたかと思ったら、あなたが座っていました。あなたは不思議な人ですね。こんなすがすがしい人に出会ったのは初めて、というのがあなたと出会った最初の印象です。
 人生の終わりにあなたのような人をイエス様は送ってくれて本当に幸せ」と弱弱しい声で言った。
 わたしは、「それはね。私の中のイエス様があなたのところに来たのですよ」と言った。
 そしたら、Hさんは涙を流していた。
 彼女の人生最後の仕事は娘さんとの和解だった。
 Hさんは自分の非を認めて娘さんに謝罪し、次第に和解の方向に進んでいった。娘さんもだんだんと母の心に動かされていった。
 わたしは毎日祈りながらその変わりかたを見せていただいた。
 ホスピス入院の10日間には、本当にすばらしいことが起こったのだ。

 今日9月4日、午後4時頃、病院に着いた。
 Hさんの息遣いが荒い。酸素吸入の量も多い。
 「Hさん、来ましたよ。」と大きな声で言った。目の焦点は合わないが確かに声の方に顔を向けた。
 次第に息遣いが波打つようになり、酸素吸入のマスクをはずそうとする。体を右左に変えようとする。
 突然目の様子が変わった。息遣いもおかしい。息が途切れる。次第にその間隔がながくなる。娘さんが緊急ナースコールをする。
 看護師さんが飛んできた。様子を見極めるや、ドクターを呼びに行った。ドクターが来る。しばらく腕を取って息がとまるのを見きわめている。
 息が止まった。
 しばらく聴診器で心臓の音を聞いている。目にライトをあてて瞳孔を見ている。時計を見て、やおら死亡告知。
 その瞬間苦しみの表情がおだやかな安らぎの表情に変わった。
 2008年9月4日午後4時52分。71歳。旅立ち。
 55歳まで小学校の教師を務めた。
 自分の信念に生きた人生であった。
 今は、イエスの光の中に導きいれられたと信じている。

 アレルヤ


2008/09/19


 スピリチュアルケアの神学 (1) ↑上へ

 :「試練、省察、祈りという下降の道」と「浄化、照明、一致という上昇の道」
聖マリアンナ医科大学 福田誠二
 

 「スピリチュアルケアとは何であるのか」。キリスト教霊性神学によれば、人間の精神は「試練、省察、祈りという下降の道」と「浄化、照明、一致という上昇の道」とを歩むことによって神に出会い、神と一致すると考えられている。この観点から、スピリチュアルケアについて考えてみたい。
 キリスト教においては、人間とは個として自立し、自由で固有の意志と知性を持つ、かけがえのないユニークな人格であると考えられている。同時にまた、このように、個として独立した人格であるとはいえ、人間は、あたかも唯我独尊的に、どこまでも永遠にただ独りで生きていくことはできず、自己とは異なる、別の独立した人格と出会って生きていかねばならない運命にある存在である。しかも、固有の自己を持つ一個の人格である自己は他者と出会い、他者と交わることによって、自己の人格を変えていく存在でもある。言い換えれば、人間の人格とは他者との出会いと交わりとによって変化し、変容されていく存在であるといえる。つまり、キリスト教霊性神学における「人間がスピリチュアルな存在である」とは、「人間が他者と出会い他者と交わる際に、人間の人格は変容されるが、その変容の瞬間に人間の人格のスピリチュアルな本質の一端が現われ出る現象」であるといえる。ところが、この各々の人間の人格はそれぞれまったくユニークで、かけがえのない存在であるので、そしてしかも、それらが各々まったくユニークに出会うので、それらを「共通普遍的に把握し、表現する」ことは不可能であることも容易に推測される。従って、「人間の人格がスピリチュアルである」ということを把握するには、それらの出会いが共通普遍的なものと考えるのではなく、各々の出会いを「その都度の現象的なものとして」種々の観点からおよび種々のカテゴリーにおいて理解・把握を試みながら、人間存在の実存の多様さとそのユニークさを多面的に総合的に理解・把握するよう試みることが重要であると考えられる。
 それでは、「人間が他者と出会う際に現れ出てくるスピリチュアルな現象とはどのようなものであろうか」。キューブラー・ロスによれば、人間が自己の死に直面したとき、人間は「否認と孤立、怒り、取り引き、抑鬱、受容」という五つの段階といわれる、精神医学では防衛メカニズムと呼ばれる、極度に困難な状況に対処するために精神に備わっている精神のメカニズムを経ながら、死を受容していくという。キリスト教霊性神学によれば、人間の人格が他者と出会う際に人間が辿る伝統的な歩みの第一のカテゴリーは、「試練、省察、祈りという下降の道」といわれるものである。人間は、大抵の場合、何らかの試練に遭遇してはじめて自分の置かれた状況とその中にいる自分について真剣に考え始める。むしろ、人間とは自分自身が非常に困難な状況に直面してはじめてものを考え始める存在であるともいえる。戸惑い、迷い、否認、孤立、怒り、抑鬱等、心の葛藤を経験するなかで、徐々に深い思索と本来の自己の姿を獲得していく。そうして、いわば「理性」の内側における理性的及び論証的な活動を超え出た、自己の精神の最内奥における、自己に向き合う自己を超え出た存在に対する対話と交わり、広義の意味での「祈り」という事態に進んでいく。精神の最内奥における自己と自己を超える存在に対する実存的な活動は、「魂の根底」における「内奥」「隠れ場」「空洞」において自己を超える存在を「受容する」行為となっていく。その際に、「自己を超える存在」は「より一層、自己の根底に存在する」と考えられる。それゆえ、「自己を超える存在を受容する」人間の行為とは自己の高みへ上昇する行為というより、むしろ「より一層、自己の深みへと降っていく」「自己の試練の深みへと降っていく」行為となる。神学的に述べれば、「深部からの神学」あるいは「深部から深部へと向かう神学」と呼ばれるものである。それゆえ、「スピリチュアルである」とは、「人間の精神が自己の試練を通してより一層、自己の深部へと降っていくこと」であり、「人間精神が深部から深部へ向かうなかで、スピリチュアルな自己の存在の姿を現すこと」であると考えられる。
 さらに、キューブラー・ロスによれば、「五つの段階」を通して自己の死の受容へと向かう人間の精神には、常に「希望」という内面の傾向性が存在している。一方、キリスト教霊性神学によれば、神との一致へと向かう人間精神は「浄化、照明、一致という上昇の道」を歩むといわれる。人間は他者と出会い、他者と交わるなかで、徐々に内面が浄化され、他者からの新しい光によって内面が照明され、何らかの新しい仕方で「他者と一致する上昇の道」を歩む。このカテゴリーの源流はギリシャ思想、特に、新プラトン主義思想にあるといわれるが、ギリシャ教父の一人であるディオニシウス・アレオパギータは、その『神秘神学』において、人間精神の「神化」の思想を具体化する、人間精神と神とが一致する道における一つの基礎的な枠組みとして、このカテゴリーをキリスト教神学に取り入れた。言い換えれば、「浄化、照明、一致という三様の道」においては、「三」という数は三位一体における神の愛の交わりを示し、「一」という数によって人間精神がその神の愛の交わりへの参与を通して、神との観想的一致へと至ることが暗示されている。人間が恩恵によって神に出会うと、人間はその恩恵における観想的な神との愛の交わりを通して、徐々に神に似たものに変容され、そしてその後、神との恩恵的な一致へと至ると考えられる。今、目の前の一人の患者さんが信頼のうちに心を開いてカウンセラーに何かを話しているならば、その患者さんはカウンセラーとの人格的な対話を通して内面が浄化され、そこに新しい光が照明され、カウンセラーとの深い人格的な一致へと入っていく。同様に同時に、そのカウンセラー自身もその対話を通して内面が浄化され、新しい光が照明され、その患者さんとの深い人格的な一致へと進んでいく。最終的に、人間精神は目に見える感性界を超え、自己の精神さえをも超え、すべて存在するものの「在ること」と「善きこと」の根拠である神を観照しようとする。そして、すべての段階を昇りつめた今、「愛である神との全人格をかけての一致」のみが残っている。ここではもはや人間の自然本性的な諸能力による努力は無力である。超越者の側からの恩恵としての働きかけのみがこれを可能とする。キリスト教神学では、この働きかけは、神と人間の媒介者・仲介者・弁護者であるイエス・キリストを通してのみ授与され、完成され得る恩恵であると考える。スピリチュアルケアの実践においてはこの媒介者・仲介者・弁護者とは誰なのであろうか。


2008/09/04


 熊本イエズスの聖心(みこころ)病院について ↑上へ
 パストラルケア部の活動
臨床パストラルカウンセラー 加藤理人

 以前、仕事内容についてご質問をいただいたことがあり、自分でも深く職業としてのパストラルケアについて再考できました。今回、投稿してみます。ご参考にしていただければ幸いです。

1、スピリチュアルケアの専門職としての勤務とお聞きしていますが、その業務内容について教えていただけますか。

→ ホスピス相談窓口、ホスピス相談員、入院している患者様(介護病棟、療養病棟、ホスピス病棟)に対してのスピリチュアルケア、内科の外来で来られた患者様でドメスティックバイオレンスや不登校の生徒さんへのケア。病院スタッフへのスピリチュアルケア、スタッフへのスピリチュアルケアの授業、研修生への指導、他の連携しているホスピスとの連絡業務、病院内委員(教育委員、情報管理委員、病院をよくしよう委員)の仕事、ISO管理委員、ボランテイア講座担当、ホスピス支援する会事務局長などです。

2、患者さん、ご家族の方、(もしなさっているのであれば)スタッフの方への面談の記録は病院側にはどのように残しておられますか。

→ パストラルケア日誌があり、記入を毎日しています。時には、患者様のカルテに対話記録を記入します。

3、デスカンファレンスはどのように行ってらっしゃいますか。

→ ホスピス病棟では以下のように行っております。

月、水、金 の病棟カンファレンスがあり、その時に、1〜2名行う。担当ナースがデスカンファレンス用の記入用紙に書き込み(記録、身体的ケアについてを中心に書き、社会的なケアやスピリチュアルケアについてもナースが気付いたことを書いています)

4、毎日のカンファに出てらっしゃいますか。

→ 毎朝の申し送りには出ています。ホスピスのカンファレンス(月、水、金)に出ています。

5、勤務時間、勤務日数、待遇など勤務の形態はどのようになっておられますか。

→ 勤務時間は、月から金が8時半から17時まで。土曜日は8時半から12時半まで。日曜、祝日は休みです。

6、専門職として、心がけておられること、大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

→ その瞬間に出会った人、全てに対してパストラルケアワーカーの心を持って接すること(勤務外でも、プライベートな時間、場所でも)

7、加藤さんが入られて、病院内の何かしらの変化を聞かれたことはありますか。
  あるとすると、それはどのようなことでしょうか。

→ 私以外の聖心病院のスタッフに聞いてください!!??けどパストラルケアワーカーの存在はとても意味があるということは、よく理解してくださっている病院です。
患者さん、ご家族の方への病室訪問は自由にさせてもらっています。
スタッフから特に依頼のある場合や、外来の方のケアをさせていただくこともあります。

スタッフから私が入室していることがわかるようにしてほしいとの声があり、入室時には、目印の磁石を病室のドアにつけておきます。
その札がかかっているときには、緊急時以外は、対話が中断しないように配慮してくれるスタッフもいます。ご家族の方とは別室でお会いすることもあります。

スタッフの日常でのケアは、時間を取ることが難しく、細切れの時間の対話の中でということが多いのが現実です。
もちろん、きちんと時間をとって行うこともあります。

デスカンファも皆が集まって改めて時間を取ることがなかなか難しく、関わったナースやスタッフとその場その場での対話、少し時間をとってお話を伺うといった個別での対応になっています。

以上、このような業務を日々行っています。

2008/08/19




― 一般病棟でのスピリチュアルケア普及の試み ― ↑上へ

聖ヨハネ会桜町病院 看護師 平野のぞみ

 私は、2001年にスピリチュアル・カウンセラーの認定を取得しました。それまで16年看護師として勤めるなか、患者との関わりで何か足りないと感じていました。スピリチュアルケアに出会い、全人的に患者を看護することは、霊的な側面まで関わることだと認識しました。2004年4月より桜町病院で看護師として働き始めました。

 当時の病院長がスピリチュアルケアを院内で普及させたいとの方針に伴い、2004年10月から企画に携わりました。内容は
 1) 2004年10月〜2005年9月、5回シリーズで講演会を企画しました。講演会の講師は、1回目が桜町病院ホスピス病棟・チャップレンシスター・サビナ。2・3回目は聖トマス大学の松本信愛神父様。4・5回目は國枝欣一牧師でした。
 2) 2005年10月〜現在、月1回のスピリチュアルケア勉強会をしています。企画・進行を私が勤め、スピリチュアルなアドバイザーとして聖パウロ会司祭に毎回同席して頂いています。メンバー構成は10名〜15名で、看護師が殆どですが、ケースワーカー、栄養士、医師、事務職の方がおり、1年間通して、参加することを条件にしました。
 
 勉強会の目的ですが、スピリチュアルケアは専門職であり、スピリチュアルケアの専門的な学びをされた方が対応されるのが本来の姿であると認識しております。現状は専門家の人数が少ないこと。医療現場でもスピリチュアルケアの重要性の認識が医師、看護師を含めて乏しいこと。又スピリチュアルケアはホスピス病棟に限らず、一般病棟においても患者や家族,医療職者も含めて必要している現実があります、それに対応出来る人材を育てることは必要ではないかと考え始めました。

 勉強会の最初1年は、テキストを使い、スピリチュアルケアとは何かの説明後、自由討論をしました。2年目の半ば頃から、会話記録を使い、討論するようになりました。
 病棟では日常的に、スピリチュアルニーズが聴かれます。「家族に迷惑をかけてまで生きていたくない。」「私はみっともない老人だ。」「役に立たない者です。」「早く死にたい」ご家族は、「両親の面倒を見るのは疲れました」又、慢性疾患患者においては「生きているのはつまらない」「これ以上生きていても良いことはない。」「こんな病気になるのは前世で何か悪いことをしたからですか。」等。

 高齢者や慢性疾患を患う病人のスピリチュアルペインの表出は、がん患者に比べ、緊迫感がなく、日常会話のなかでさりげなく、話されるのが特徴ではないでしょうか。これまで、看護の中で患者の霊的面まで含めて全人的に関わることは、教育されてきませんでした。勉強会に参加し、霊的側面に携わろうと試みる看護師には、大きなチャレンジです。初めてスピリチュアルペインに触れた時、その場に立ち竦む想いがしたとの感想を数名の方が述べています。

 6月の勉強会・聖書の分かち合い

 「やもめの献金」(マルコ12章41〜44)
 いろんな解釈はあると思いますが、「自分が持っているものを全て出し切った」ところにポイントがあるのではないでしょうか。日々の業務に追われるなか、患者さんに声を掛けられる、スピリチュアルペインと思われる訴えが聴こえる、忙しい・・・次の業務が待っているが、2・3分だけでも立ち止まる。「その時持っている、自分の時間、自分自身を目の前の患者に全力を注ぐ。」 一日の間何度でも賽銭を入れる機会があるかもしれない・・・スピリチュアルニーズに充分に対応出来るかどうかが問題ではなく、その場に留まることが大切なのでは。「今、持っているものを全て与える、今この時をこの方のために使おう、全力投球するのは今だと関わることが、相手に愛や癒しが伝わっていくのではないでしょうか」
 同行司祭の聖書の話は、その場の雰囲気を和ませ、医療現場に霊的糧を持ち帰る機会になります。(2008年6月記)

2008/08/04




一般病院でのスピリチュアルケアの6年 ↑上へ

出会いは無限の輪

一般病院でのスピリチュアルケアの6年

スピリチュアルケア・ワーカー 山下春憙

1 活動経過
 今年3月で75歳の誕生日を迎えるに際して、ひとまず病院でのスピリチュアルケアに一応の区切りをつけたいと思いました。そこで、この3月いっぱいで病院との嘱託契約を終了させていただくことになりました。
 今、6年に近い病院でのスピリチュアルケアの歩みを振り返って、水島協同病院への感謝の気持ちを表したいと考えました。

 @ 田中事務長(当時)との出会い
 搏動74号に「水島協同病院における1年半のスピリチュアルケアの実践」の中で、田中事務長(当時)との出会いの経緯を書きましたが、まさに田中事務長との出会いがその後のわたしのスピリチュアルケアの歩みを決定づけたと言えるのです。
 2001年2月27日発行の医療倫理委員会の病院への答申「当院らしい緩和ケア病棟」を読んだことがきっかけで田中理事さんと出会いました。初対面で田中理事さんとは医療におけるスピリチュアルケアの必要性などで意気投合し、次の医療倫理委員会で話をするようにと要請されました。

 A 2001年8月17日、医療倫理委員会での小講演が水島協同病院との最初のかかわりでした。

 B 2002年2月には、理事会でスピリチュアルケア・ワーカーを水島協同病院へ受け入れることが決定されました。

 C 2002年6月12日 病院の中でスピリチュアルケアの仕事を始めるに先立ち、看護部主催の勉強会でスピリチュアルケアの講演をしました。その後、6月14日から、スピリチュアルケアの専門職として医療チームの中に入れていただくことになりました。

 D 2003年6月30日には、臨床パストラルケア教育研修センターのキッペス先生のスピリチュアルケアの講演会が学習教育委員会と医療倫理委員会の協同主催で行われました。

 E その後の経過
2003年9月3日、健寿協同病院の看護部主催で職員に講演。
2003年9月10日、倉敷医療生協理事会保健活動委員会の理事さんに講演。
2003年11月27日 全日本民医連学術・運動交流集会in名古屋で25分間の小講演。
2004年2月3日から病棟をラウンド開始。
2004年3月、搏動74号に「水島協同病院での1年半のスピリチュアルケアの実践」を掲載。
2004年4月21日 坂出聖マルチン病院でスピリチュアルケアについて講演
2004年7月10日 肝友会(肝臓の病気の人の会)でスピリチュアルケアについて講演。
2005年3月26日 暖流会(大腸がんの患者さんの会)で講演。
2005年4月7日 「新入職員に期待するもの」と題して講演。
2005年4月20日 岡山協立病院の医療倫理委員会主催の勉強会でスピリチュアルケアについて講演、2時間。
2005年5月7日 尾道生と死を考える会でスピリチュアルケアについて講演(尾道ケーブルテレビで放映)2時間。
2005年6月18日日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会in広島で、スピリチュアルケア部会で基調講演1時間、その後分科会3時間。
2005年9月 「搏動」第80号に広島での講演記録を掲載。
2005年12月13 倉敷医療生協 中堅看護研修会で講演。
2006年4月5日 水島協同病院・新入職員研修でスピリチュアルケアについて講演。
2006年12月4日 岡山市ソワニエ看護専門学校でスピリチュアルケアの講義。
2007年2月26日 岡山市ソワニエ看護専門学校でスピリチュアルケアの講義。
2007年3月29日 地域医療連携室で講演
2007年4月3日 倉敷医療生協新入職員研修会で講演
2007年11月11日 第1回日本臨床スピリチュアルケア研究会で一般講演。テーマは「病室は聖なる場」

2 出会い
 田中理事さんとの出会いに始まる「出会は無限の輪」(ある患者さんがこの言葉をよく使うのですが)の展開は思わぬところに発展していきました。
 「搏動」74号に掲載された「水島協同病院でのスピリチュアルケアの実践」の記事がきっかけで尾道生と死を考える会の講演が実現しました。この講演はノーカットで「尾道ケーブルテレビ」で放映されました。その後、これが、日本ホスピス在宅ケア研究会in広島・全国大会でのスピリチュアルケア部会の基調講演へとつながりました。この部会には全国からホスピスや病院などで働く医師、看護師、介護福祉士やその他の医療従事者及びスピリチュアルケアに関心のある方々が150名ほど集まりました。与えられた1時間の基調講演のテーマは「スピリチュアルケアとは」、副題は「一般病院でのスピリチュアルケアの実践から」でした。これは水島協同病院でのスピリチュアルケアの実践で体験し、患者さんから教えていただいたことが土台になっています。
 うれしいことには、この講演がきっかけで多くの方々との出会いがありました。そのうちの一人はその後、スピリチュアルケアの研修をはじめ、去年の11月に臨床パストラル・カウンセラーの資格認定を受けました。現在は山口県下松市の病院でスピリチュアルケア・ワーカーとして働いています。
 医療界においてスピリチュアルケアの必要性の認識は10年前にくらべると格段の感がありますが、まだ一般病院ではスピリチュアルケア・ワーカーの活躍はあまり見られないのが現状です。その中での一般病院でのスピリチュアルケア・ワーカーの実践は日本でのパイオニアーとしての体験でした。昨年の11月11日の 第1回日本臨床スピリチュアルケア研究会で「病室は聖なる場」のテーマで講演しましたが、これは、水島協同病院での6年間のスピリチュアルケアの実践のエッセンスを紹介したものです。

3 感謝
 最後になりますが、この6年間、まだ日本ではなじみのないスピリチュアルケアを水島協同病院に導入してくださった杉山理事長、里見院長、田中理事をはじめ理事の皆さん方の英断に敬意を表し、心から感謝申し上げます。
 一般病院でのスピリチュアルケアはまだまだ未知の歩みです。その中にあってあたたかい協力を惜しまなかった現場の医師、看護師さんとその他の職種の方々に特に感謝の気持ちを表したいと思います。
 それから、6年の間に出合わせていただいた患者さんにも感謝したいと思います。患者さん一人ひとりのすばらしい生き様に接し、教えていただいたこと、こころから感謝いたします。みなさん、6年間本当にありがとうございました。

2008/07/08




人と共に希望と共に歩む ↑上へ

 はじめまして

 聖テレジア会本部事務局所属の臨床パストラル・カウンセラー四方利栄(よもりえ)と申します。
 常勤職員として採用をしていただいてから、おかげさまで早3年の歳月が経ちました。

 近況を報告させて頂きますと、当法人で経営している4福祉施設のうち3施設でパストラルケア訪問が行われています。聖テレジア病院(神奈川県鎌倉市)には非常勤職員3名とボランティア2名と私が、聖ヨゼフ病院(神奈川県横須賀市)には非常勤職員1名とボランティア2名が、七里ガ浜ホーム(神奈川県鎌倉市 特別養護老人ホーム)では私が兼任をさせて頂き、メンバーの協力の元それぞれの施設においてチームケアを柱にして活動しています。特に昨年からは聖テレジア病院の「緩和ケアチーム」のメンバーに入れて頂くことが出来、医師、看護師、ソーシャルワーカー、栄養士、薬剤師等の医療チームと一緒になって終末期の患者様の全人的ケアを目指して活動しています。

 聖テレジア病院と聖ヨゼフ病院ではセンターの5日間研修会を開催しています。また、聖ヨゼフ病院ではセンター認可のスーパービジョンを開催し、主に南関東ブロックのスキルアップを図っています。私の活動としましては、本部事務局の仕事と共に先述の5日間研修会の計画・運営やスーパービジョンの受付窓口、病院の患者様や施設の利用者様のパストラルケア訪問、パストラルケアメンバーの統括(会議の開催等)、法人内聖堂におけるミサの開催と聖堂管理、各施設の典礼のサポート、聖体奉仕、パストラルケアに関する書類や書籍の管理、パストラルケア事業計画や予算の総括等、多岐に亘った仕事をさせて頂いております。また、聖マリアンナ医科大学医学会学術集会や法人内中間管理者研修会においてはパストラルケアを啓蒙する為の発表を、新採用職員研修会においては講師を、ありがたくも様々な場を与えて頂きチャレンジ精神で励んでおります。しかし・・・ハード面とソフト面の両方を担っていくことはとても至難のわざです。

 現在、私は法人の本部事務局所属となっていますので全ての動きが事務局中心になっており、臨床パストラル・カウンセラーとしては独立が出来ていないため、専門職としての葛藤の苦しみの中で仕事をしています。法人内では今もなおパストラルケアに対しての認知度が低い状況ですが、将来的には法人内各施設に他部門とは独立したパストラルケア部が出来るようにと・・・職員への啓蒙活動に常々励んでいる状況です。例えるなら、開拓者が未開の土地に分け入り、暗中模索の中で新たな道を作り続けているような・・・次から次へと様々な試練はありますが、希望をもってあきらめずにこれからも日々パストラルケアの存在の大切さを伝えていきたいと感じています。

 全ての人(患者様・利用者様・ご家族・お友達・職員)のQOL(生命の質、人生の質)の向上を目指して。

 社会福祉法人 聖テレジア会 本部事務局
   臨床パストラル・カウンセラー 四方 利栄

2008/07/03





老人ホームでのパストラルケアについて ↑上へ

***「特別養護老人ホーム・暁星園」の一例をご紹介します***
                   2008.6.28 小野照子

1 施設の概要: 仙台市宮城野区にある特別養護老人ホーム暁星園は1976(S51)年に設立された社会福祉法人カトリック児童福祉会経営の施設で、今年33年目を迎える県内でも最も古い特養の一つです。
定員は56名、ショートスティ4名。開設当初より市内の修道院からシスターが2、3名ボランティアとして(一時は職員として)入居者の心のケアや宗教的ケアに当たっておりました。その後シスターの高齢化や修道院の移転に伴い、10年前からパストラルワーカー職が設けられ常勤で職員一名が勤務する体制が取られました。
私は2003年4月より勤務し、6年目を迎えております。勤務時間は9時から17時までの7時間で月曜日から金曜日まで。勤務時間と年齢的(60歳以上)なことから準職員の身分であり、職員組織の構成では園長⇒生活相談員⇒パストラルワーカーとなり介助員と同列、任命は一年毎の更新です。
 施設の基本理念は、キリスト教の精神に基づいたものであり、入居者の精神的・霊的ケア、ターミナルケアの重視(ほぼ全員が園で帰天されている)をかかげておりますが、種々の要因でパストラルワーカーの仕事内容は多岐に亘りスピリチュアルケア本来の心のケアのみに当たることは困難な現状にあります。高齢者の施設にパストラルワーカー職が設けられ、その一時期を担当させていただいていることことに感謝しつつも、自分自身の微力さと仕事内容の広範さに勤務以来の葛藤があります。

2 勤務内容: 
@居室訪問・対話・傾聴
A見守り(ターミナル期・体調不良時・精神不穏時等)
B宗教的ケア: カトリック信者5名・プロテスタント信者1名
(聖体拝領・病者の塗油の準備・毎日の聖書の提供や読み聞かせ・祈りなど)
C傾聴ボランティアの受け入れ(現在は5名)
D担当(参加)する行事:
・毎月の追悼式・・・開所以来(32年間)のその月に帰天された方の為にみことばの祭儀を行う。
・祈りの会・・・・・月2回(シスターが指導)
・帰天者のお別れ会・葬儀関係・聖母被昇天祭・合同慰霊祭・共同墓参・クリスマスミサ
・サービス担当者会議(入居者56名につき年に一度)
・カンファレンス(必要に応じて参加)
・生け花教室(月一回)
・音楽教室(週一回) 
・その他(食事介助、散歩、実習生への業務説明・職員会議など)
E記録・提出物・・・ケース記録・日誌・年度末の事業報告

3 各仕事のウエイト:  (2、3年前より人事考課制度が導入され年2回自己評価をする必要が求められている。その際に検討したもの)
・居室訪問・対話・傾聴・・・・・・・40%
・見守り・・・・・・・・・・・・・・ 5%
・宗教的ケア・・・・・・・・・・・・10%
・宗教的行事・・・・・・・・・・・・20%
・その他・・・・・・・・・・・・・・25%

4 皆様からご意見やアドバイスを頂きたいこと
@勤務内容Aの「見守り」は“共に居て見守る”ことで大切にしたい仕事ですが適切な用語はないでしょうか。
A入居者と関わる十分な時間を与えられていますので可能な範囲で対話・傾聴を記録し、情報の共有に努める必要があります。日誌の形式にはどのようなものがあるでしょうか。
B何か新たな提案や不明な点、ご質問などがありましたらお寄せください。宜しくお願いいたします。

2008/06/28




こんにちは!
聖霊病院カトリック社会事業室 Sr.村上多美代です。
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 こんにちは!パストラルケアワーカーのネットワークができ、そしてそのメンバーに加えていただくことができて、とてもうれしく思います。
 今日はまずはじめに、聖霊病院においてのわたしの活動をご報告します。
わたしの所属するカトリック社会事業室(通称:カト社)の業務は、@総合案内 Aカトリック行事 Bボランティアコーディネート Cパストラルケア Dホスピス聖霊開設準備 E眼科リハビリテーション(中途失明者のリハビリ)と多岐にわたっています。
 わたしが主に携わっているのはパストラルケアとホスピスの開設準備です。
 パストラルケアは私を含めて3名がそれぞれ病棟を担当しています。わたしは外科系の病棟を担当しています。ここには緩和医療科の患者様も入院されますので、一人ひとりをゆっくり訪問しようと思うととても時間がかかります。また緩和医療科外来通院中の患者様やご家族、またスタッフからの相談を受けることもあります。緩和ケアチームが4月から再発足したので、そのメンバーとしての仕事もあります。
 5年前からホスピスの開設のための準備が始められました。その一つとしてボランティアコーディネーターと協力してホスピスボランティアを養成しています。1年間の養成講座ですが、3期目が修了し、現在17名がホスピスボランティアとして認定され、ホスピス準備の活動をしています。また主にホスピスの経済的な支援のため、後援会が設立されましたので、そのお手伝いもあります。
 院内各科の医師、訪問看護や、地域の診療所との連携を強化するために、研修会や事例検討なども始まったところで、さまざまな仕事に追われ毎日がめまぐるしく過ぎていきます。
 「関わる」こと「育てる」ことが今のわたしの仕事の本質かな〜と思っています。

社会福祉法人聖霊会 聖霊病院 カトリック社会事業室 室長
パストラルケアワーカー  Sr.村上多美代

2008/06/23