第13回(2010)全国大会報告

第13回(2010)全国大会報告

病める人々と共に歩むNPO臨床パストラル教育研究センター(W・キッペス理事長)主催の第13回総会・全国大会が神戸BBプラザにおいて6月12日~13日、「スピリチュアルな生き方」と題して延べ230名の参加の下に開催された。

第13回全国大会

第13回全国大会


初日の基調講演Ⅰで、桃山学院大学教授伊藤高章氏は「スピリチュアルケアのスピリチュアリティとリアリティ」と題し、現在の医療現場のスピリチュアリ ティ認識の再考を促した。

①シシリー・ソーンダースが提唱した終末期患者の「身体・精神・社会・スピリチュアルな痛み」と、②1999年WHOが提唱した 「霊的にダイナミックな健康」は異なると指摘し、死の瞬間に至るまで、ダイナミックな健康を求めるケアが大切だと強調した。スピリチュアルな痛みを取り去 ることがゴールではなく、患者がスピリチュアルな痛みを語る中で自己理解や創造的側面を体験できるように、ケア担当者は積極的に傾聴し、共感しながら「健 康な死」へと支えていく役割を持つと述べた。また、スピリチュアルな痛みは愛する者たちが、共に悲しみ苦しむ為、人間に与えられた恵みであるとも語った。

講演後、グループ討議と全体会の発表が行われた。終了後、神戸中央教会にて松浦司教様とパストラル関係の神父様方の共同司式でテゼ典礼のミサが行われた。

2日目の基調講演Ⅱは、ラジニ・ダウラトラム氏が「スピリチュアルな生き方―沈黙の力・内なる平和―」について語った。よりよい援助者になるには、「魂の叫び」に耳を傾け、それに相応しく応答する為の「質の高い傾聴」と「スピリチュアルな人格」を資質に備える必要があり、その土台となるものは沈黙の力、内面の平和であると説いた。

「パネルディスカッション」ではスピリチュアルケアを受けた4人が体験を発表した。二人の患者体験者はケアに出会い、ポジティブに生きる今の心境を語っ た。両親の見送りを体験した二人は苦しい時に寄り添ってもらえたことに触れ、「親がいないことは寂しいけれど、悲しくない」と話した。

分科会の医療現場報告は六題発表された。二つの県立がんセンターとNPOに於けるスピリチュアルケアの実践報告、自己の試練の中で見つめたスピリチュアルケア、「パストラルケアセンターHUGハウス」の10年の歩みなどである。

教育・福祉の現場報告は別会場で6題発表された。教育現場におけるスピリチュアルケア、阪神淡路大震災後の地域住民への寄り添い、パストラルケアとの出 会いとその生き方(二題)、技術者としての生き方とスピリチュアルな側面、婚外出生者のスピリチュアルな痛みなどである。

パネラー及び現場からの報告者にとり、発表することで傷つくことがないよう配慮がなされた。大会を準備した実行委員は「参加者がスピリチュアルな空気やあたたかい人間関係に触れ、もてなしの心を味わい、参加してよかったと思えるよう準備した」と語った。

大会の全日程を参加者と共にいたキッペス理事長は「ケア提供者は相手を生かす役割を持っている。自分が生きていれば、相手を生かすことが出来る」と力強く話した。

筆者はスピリチュアルな学びは日々新たにされるべきものであると今回も深く感じた。現場からの報告には年々内容と質の充実がみられ、ゆるやかに範囲が広まり、日本国内にスピリチュアルケアが浸透しつつあることに希望を感じている。(臨床パストラル教育研究センター広報担当)


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